奨学金の返済がきつい…返済できない場合どうなる?救済制度や対処法の紹介

2023.06.27
奨学金の返済がきつい…返済できない場合どうなる?救済制度や対処法の紹介

奨学金を借りて大学へ進学する人は多くいます。卒業後の返済がきついと悩む方も多くいるのも現状です。

「奨学金の返済って何年かかる?」「どんな理由で返済できなくなる?」「返済できないとどうなる?」など奨学金返済の疑問について解説します。

また、奨学金の返済がきつい時に申請できる救済制度や対処法もお伝えします。奨学金の他に借金があって困っている場合は、借金減額が期待できる「債務整理」は利用できるのでしょうか?奨学金について幅広く学びましょう。

奨学金とは?種類や特徴、返済期間の紹介

奨学金を借りて勉強に励む方は多くいます。奨学金を借りて進学したものの、卒業後の返済がきつい、家計と両立は困難だと悩む方も多くいます。

まずは、奨学金とはどういった制度か確認しましょう。

奨学金は、家庭の経済的事情などで学費を準備できない場合、貸付けや給付がされる制度です。

主に、独立行政法人 日本学生支援機構が奨学金の貸付けを行い、多く学生が利用しています。

貸与型第一種 無利子で借りられる。成績など条件がある。
貸与型第二種 有利子で返済が必要。多くの方が利用している。
給付型 返済不要の奨学金。成績や世帯年収など条件がある。

大半の人は、貸与型第二種の奨学金を利用し大学卒業後から返済を始めています。

「教育ローンとは何が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。教育ローンは、親がお金を借りて返済するものです。

奨学金は学生が借りるものです。したがって、卒業後に奨学金返済をするのも学生自身になります。

奨学金は借金と同じ!利子がかかるので計画的に返済が必須!何年で返せる?返済期間はおよそ15年

大学卒業後、奨学金の返済はスタートします。同時に就職や結婚、出産、子育て、マイホームが欲しいなど自身のライフスタイルを考えることも増えるでしょう。

「返済はいつまで続くの?利子はいくら?」など気になる点も多いですよね。

  • 奨学金の利子…上限は3%と決まっている
  • 奨学金の平均額…およそ300万円
  • 返済期間…15年~最長20年
奨学金を300万円借りると、毎月1万5,000円程度の返済をおよそ15年間続けると完済できる計算になります。

「奨学金返済は長いもの…」とわかっていてもライフスタイルとの兼ね合いで返済が不安だという方もいるでしょう。

奨学金を借りる時は、「奨学金=借金」だと認識して、返済シミュレーションなど計画を立てる必要があります。

奨学金の返済がきつい人が急増!返済できなくなってしまった理由とは?

奨学金の利息は、消費者金融などと比べると金利3%と低金利です。しかし、長い返済になると理解していても、思わぬ状況で返済が困難になることもあります。

大学卒業後、就職すれば安泰!必ず完済できるというわけではありません。昨今は、奨学金の返済に悩む若者も増加しています。

当初計画していた職業に希望通り就職できず、収入が低い

奨学金を借りて大学進学しても、希望通りの企業や職場に就職できないこともあります。思っていたよりも給料が低くければ、奨学金の返済がきつくなってしまいます。

正社員の希望が叶わず非正規雇用であったり、アルバイトの状態だと返済はよりきつくなります。

仕事を辞めてしまい収入減に!

就職したけれどブラック企業だった、人間関係に疲れた、職種が合わなかったなどで仕事をやめてしまうこともあります。仕事をやめてしまえば収入が減る(なくなる)ため、奨学金の返済は困難になってしまいます。

1人暮らしで生活費だけで手一杯となり、奨学金返済が重荷

大学を卒業しても、数年間は給料が低いのが一般的です。1人暮らしをしていれば、生活費の工面で手いっぱいになります。

さらに物価が上がれば、食費や光熱費も上がり生活もきつくなります。生活をするだけで精一杯、奨学金返済が重荷に感じることもあるでしょう。

親の収入が減ってしまったり少ないという理由や、親を頼りたくないという方も!

「困った時は親を頼りたい」と思っても、親も低収入で金銭的に余裕がないと頼ることもできません。社会人になったので、お金を心配をかけたくない方もいるでしょう。

心配をかけたくないあまり、奨学金返済の悩みを1人で抱え込むのは良くありません。

新型コロナウイルスの影響で収入減、解雇になってしまった

2020年から新型コロナウイルスの影響で、時短勤務や解雇になった方は多くいます。時短勤務になると、給料は減りますので生活が厳しくなります。

新型コロナウイルスの影響や円安などで経済状況は厳しいのが現状です。新型コロナウィルスの影響で、奨学金返済の悩みを抱える方は多くいます。

奨学金の返済の滞納は、差し押さえのリスクがある

奨学金の返済ができなくなるとどうなるのか?

奨学金は借金と同じなので、払えなくなると借金を滞納した時のようなことがおこります。順番に説明します。

  1. 返済日を過ぎても返済がないと延滞金発生する
  2. 連帯保証人へ請求がいく
  3. 滞納が3ヶ月続くとブラックリスト入り
  4. 滞納が9ヶ月続くと一括請求される
  5. 応じなれば給料の差し押さえになる

年利2.5~10%の延滞金が発生します。第一種奨学金は利息は付きませんが、返済遅れると延滞金が課せられます。

親を保証人にしていると、親にも請求がいき迷惑をかけることになります。

滞納が長く続くほど、リスクは大きくなります。3ヶ月滞納すると、ブラック状態にクレジットカードの利用ができなくなります。

一括請求にも応じなければ、最終的に給料や財産の差し押さえという事態に発展します。ブラックリスト入りや強制執行になっては、その後の生活にも多くの影響が出ます。

奨学金は結婚などにも影響が出る可能性がある

今や大学生の2人に1人は、奨学金を借りているのが現状です。また、奨学金返済があることで、「結婚」や「マイホーム購入」が不安要素としてあげられています。

結婚できるか不安…しっかりと返済計画を立てることが大切

  • 結婚前に家計管理を身に着ける
  • 結婚前に奨学金返済があることを相手に伝える
  • 奨学金が理由で相手の親に結婚を反対されることもある

結婚したいのであれば家計管理は重要です。家計簿をつけて家計管理力をを身につけましょう。ボーナス時は、繰り上げ返済をして残高を大きく減らすのも良い方法です。

結婚後に、相手に奨学金があったと判明すれば、夫婦関係にもヒビが入ります。奨学金があることは、隠さず事前に素直に話ましょう。

「奨学金=借金」という認識から、相手の親からいい顔をされないこともあります。結婚を反対されている場合は、返済計画の提示など誠意を持った対応が大切になります。

滞納する前に救済制度の申請を!その他の対処法を紹介

返済の滞納という事態は避けたいものです。奨学金の返済がきついと感じたら速やかに救済制度など検討しましょう。

減額返還制度で毎月の返済を減らす

収入が少ない、または病気や災害などで返済が困難な場合は、奨学金の貸付けを行っている日本学生支援機構に毎月の返済の減額を申請できます。

所得など条件があり、返済が難しいと感じたら早急に申請しましょう。

月々の返還額を少なくできる返還返還制度や、返還を待ってもらえる返還期限猶予の申請を!

失業や低収入、または病気や災害などで返済が困難な場合で、当初の額を「減らす」ことで返還可能である場合は、「減額返還制度」の申請をすることにより、一定の期間のみ返還額を減額して、その分、返還期間を延長することができます。(一定の条件を満たす必要あり)

1回の願出に対し、減額返還適用期間は12ヶ月。最長で15年まで延長することができます。

また、同理由で変シアが困難な場合で、返済期限に対して「猶予」をしてもらえば返還可能である場合は、「返還期限猶予」を申請することにより、一定期間の返還期限を延期してもらえます。(マイナンバーと、所定書類の提出が必要)

奨学金を返還する総額(元金や利子)が減額されたり免除されるのではなくて、返還の期限が延長されるのみの制度なので、返済期間が後倒しとなるため、将来への不安が残ります。

減額返還制度同様、日本学生支援機構にて申請できます。

どちらの制度も、返還する総額(利息含む)が減るのではなく、月々の返還額を減らしたり、期間を延長するのみです。

独立行政法人日本学生支援機構の減額返還・返還期限猶予リーフレットで、内容を確認してみましょう。

働けない場合は、返還免除制度の活用を

精神や身体に重い障害が生じ働けないまたは、死亡した場合は返還の免除を申請することができます。

詳しい内容は公式HPで確認できます。

親や親族に相談して立て替えてもらう

親や兄弟、親族に経済的援助を頼ってみるのも方法です。親からお金を借りるのであれば、きちんと借用書を作成し、親族間トラブルが起きないようにしましょう。

奨学金の他に借金があるなら債務整理の検討を

奨学金の他に消費者金融やカードローンの借入れがあり返済が困難な場合は、法的に借金を減らせる債務整理ができます。

  • 任意整理…利息のカットで借金を減額できる
  • 個人再生…借金を大幅に減額できる
  • 自己破産…免責が許可されると返済が免除になる

奨学金自体を任意整理しても、金利が低いのでほとんど効果がないと言われています。

ですが、奨学金以外にも借金が多くあるのであれば、債務整理をして減額や免除など効果を得られます。

債務整理は、それぞれ特徴やメリット、デメリットが異なります。債務整理を検討したら専門知識を学び、失敗のない債務整理を目指しましょう。

奨学金返済に関する相談は専門機関や弁護士などを頼って

経済的な理由や新型コロナウィルスの影響などで、今後も収入が不安定になることも考えられます。奨学金の返済は長く続きますので、返済が困難な場合は、早めに問題解決に努めましょう。

奨学金に関する相談は、日本学生支援機構など奨学金の貸付けを行っている団体へ。また奨学金を含め借金を抱えている場合は、弁護士や司法書士などへ早めに相談しましょう。

専門家へ相談することで…

  • 借金の取りたてがストップ
  • 最適な解決策を提案してもらえる
  • 書類作成や債権者との交渉を代行してもらえる

など、メリットもあります。

奨学金の返済がきつい時は、減額制度などを頼って!早め行動がカギ

奨学金の返済は、大学卒業後15~20年続くことはもちろん、「収入が減った時はどうする?」「結婚やマイホーム購入にどんな影響が出る?」など事前に知っておき対策を考えましょう。

返済がきつい状況になったら、減額返還制度や返還期限猶予など早急に検討しましょう。

また、奨学金の他に借金がある場合は、債務整理で解決できる可能性もあります。弁護士や司法書士などに相談や依頼をして解決しましょう。

奨学金も借金と同じと捉え、後回しにせず早めに対策を考えるのがベストです。